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社名変更を経て造り続けられる逸品

■ 創業は西暦1869年
1869年に鈴鹿市若松村に創業した大黒屋清水清三郎商店は、1952年に会社法人の清水醸造株式会社に社名を変えます。
2012年10月1日に法人化60周年を記念し、創業当時の個人商店名を用いた清水清三郎商店株式会社として現在に至りますが、もともと個人名を使っていたのを法人らしい名前にしたのに、その法人化60周年であえて再び個人商店のような会社名に戻したのは、どのような理由があってのことなのか、その歴史を紐解いて調べてみたい気になってくる酒造会社です。

■ 現在は日本酒製造がメイン
現在、清水清三郎商店株式会社として主に酒の製造と販売をメインとしており、三重県で開催された伊勢志摩サミットでも提供されたほど、品質の高い日本酒を造っています。
伊勢杜氏の伝統を今に受け継ぎ、鈴鹿の地で熟成させた伝統とこだわりのうまさけ「鈴鹿川」と、老若男女問わず、誰からもおいしいと言ってもらえ、そして愛される日本酒を造りたいという思いから生まれた「作（ざく）」が2本柱で、どちらもシリーズで展開されているのが特徴です。
かつて清水醸造株式会社だったときには麦焼酎も造っていましたが、現在は焼酎の製造は行っておらず、かつて造っていた焼酎の味わいが今に伝わっていないのは、焼酎ファンとしては少し残念なところでしょう。
現在生み出されている日本酒がサミットに用いられるほど高く評価されているとすれば、清水醸造株式会社当時に造られていた焼酎の製造技術も、優れたものを持っていたと考えられるからです。
一時期の焼酎ブームが過ぎ去り、今は各地のおいしい日本酒発掘に人気が高まっている、いわゆる地酒ブームがトレンドとなっていることから、焼酎を造るのはやめて日本酒に絞ったのかもしれません。

■ どんな味わいだったのかを知るよすが
清水醸造株式会社は、社名変更で変わったとはいえ、今はない会社であることは間違いありませんので、かつてどのように焼酎を造っていたかはっきりとはわかりません。
創業当初から造っていたのか、それとも創業当初はやはり日本酒だけで、なんらかの理由から焼酎を造り始めたのかもしれず、謎多きところです。
思い当たるのはバブル崩壊後に起こった焼酎ブームで、2012年に法人化60周年を記念して社名変更をしていることを考えると、失われた20年といわれる長く続いたデフレ不況の中で、経済的な焼酎が好まれたことを機に焼酎を造り、現在の日本酒ブームで焼酎造りをやめたのかもしれませんし、まったく違う理由だったかもしれず、やはり真相はやぶの中です。
ただ、清水醸造株式会社の時代に造られた焼酎が稀にネット上の店やオークションで出てくることがありますので、現在の清水三郎商店が造る日本酒のおいしさに惹かれたという人なら、見つけたら焼酎も買ってみたくなるのではないでしょうか。
よく知られているのは麦焼酎ですので、日本人の舌に最も合う焼酎といわれるだけに、歴史を思い起こしながら飲んでみるのもまた一興といえそうです。

■ 入手困難なレアな麦焼酎
長期貯蔵 麦焼酎 鈴峰は、現在の清水清三郎商店の名になる前の、清水醸造のときに造られた麦焼酎のため、すでに終売品となっています。
麦焼酎好きにとっては、一度は飲んでみたいところですが、オークションにもなかなか出回らないとあって、ファンの間ではレアな麦焼酎としても知られています。
その口当たりは、やさしく穏やかでありながらしっかりとしたキレがある、相反する要素がうまくバランスを取っているのが特徴で、奥深い麦の風味はお湯割りにすると一番よく感じられます。
また、クセがないためジュースで割り、緑茶やウーロン茶、ジャスミン茶といったお茶との相性もよく、低カロリーでヘルシーな割り方を求めるなら、お茶割りが最適です。
芳香な香りとまろやかな舌触りの優れた焼酎だったということですので、焼酎ファンにとってはぜひとも手に入れたい逸品の予感が漂う麦焼酎です。