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アランイエローアラン11年ソーテルヌカスクについて

■アラン島は密造で評価の高い島だった

アラン蒸溜所はスコットランドの南西に位置しているキンタイア半島と本土に挟まれた穏やかな内海にあるアラン島にあります。
この島はスコットランドの中でも最も美しい島としても有名な島で夏のリゾート地としても人気の高い島であり、王室の避暑地にも利用され、ロイヤルアイランドとも呼ばれてきました。
そしてここはかつて荒涼な大地であったこともあり、密造酒の産地としても知られていたのです。
隠語でアランの水と言われていたアラン産のウイスキーは非常に評判も高く、地質学者のジョン・マカロック氏が「密造酒界のブルゴーニュ」とも呼ぶほど称賛していました。
しかし、1837年にアラン島で最期の合法的に運営されていたラッグ蒸溜所が閉鎖されてしまいます。

■アラン蒸溜所の歴史

時は過ぎ、1990年代初めにシーバスブラザーズやハウス・オブ・キャンベルでマネージングディレクターを長年務めてきたハロルド・カリー氏が注目し、彼の長年の夢であった蒸溜所を建設したいと考えていました。
アランはアラン島に注目し、ここでならウイスキーのアイデンティティを示せるだけではなく、観光地としても知られるこの場所で雨の日も楽しめる観光地となれば収入源をある程度確保できるのではないかと考えました。
ただ問題となっていたのが資金についてでしたが、彼の息子が今でいうクラウドファンディングのようなアイディアを考え出し、ポンドを販売して、そのポンドの購入者へ製造されたエイジド商品を優先的に届けてみてはということを考えます。
そして土地については、水質がウイスキー造りに理想的だということが科学的に証明されたことによってロックランザ村が選出され、1995年、ハロルド・カリー氏によりとうとう夢のアラン蒸溜所が創設されることとなります。
まさにハロルド・カリーの手によって、アラン島に合法的な蒸溜所が建設されたのは158年ぶりのこととなりました。
この奇跡ともいえる出来事に、島の人口のおよそ5倍もの人々が駆け付けて祝福されました。
アラン蒸溜所に1997年ビジターセンターがエリザベス女王の除幕でオープンしたのです。
さらに1年後にはアランモルトの復活を告げるイベントが開催され、ハリウッドスターであるユアン・マクレガーが蒸溜所初の公式リリースを祝いました。
2015年になると過去最高利益となる625万ポンドの売り上げを記録するほど世界的にも愛される蒸溜所として発展を遂げています。
そして非常に歴史は浅い蒸溜所ではありますが、2012年にはWBAにて8カテゴリーあるうちのワールドベスト・ダークエール部門にて優勝を果たすほどの実力ある蒸溜所に成長しているのです。
アラン蒸溜所では、創設当時からシングルモルトにこだわって製造しています。
つまり、モルトの醍醐味を味わうために造られたウイスキーを提供し続けています。

■イエローアラン11年ソーテルヌカスク

アランでは、グリーンやレッド、ピンクなどといったカラーシリーズを展開されてきました。
その中でフランスの甘口貴腐ワインである「ソーテルヌ」の空き樽を利用しておよそ1年間にわたり追加熟成を行い、カスクストレングスの59.1％でボトリングされたものがイエローアラン11年ソーテルヌカスクです。
ソーテルヌの影響ともいえる大変上品かつ奥深い甘さが際立っています。
香りは甘く濃厚なバターリキュール、酸味のあるワインのようなブドウ、パパイヤやワイン、バナナなどの黄色の果実にリンゴとヘーゼルナッツ、そしてかすかにレザーとメントールを感じます。
味わいは、11年のカスクストレングスということだけあり、アタックが強めですが、甘さとスパイシーさどちらも感じられるでしょう。
非常にクリーミーで甘口です。
ハチミツやアプリコット、ブランデーで煮たリンゴ、パイン、アケビ、ジンジャー、黒コショウのようなピリっとしたフィニッシュが残ります。
加水することで洋ナシ、リンゴのような風味が前に出てきて飲みやすくなりますので初心者の方には加水がおすすめです。