
よく似ているけれど意味の違う2つの言葉
ウイスキーのラベルで見かける「カスクストレングス」と「シングルカスク」は、どちらも樽(カスク)に関係する言葉です。
カスクストレングスは度数についての言葉で、シングルカスクは使った樽の数についての言葉です。
2つは別の意味ですが、両方にあてはまるボトルも多いため、混同されやすい言葉です。
どちらも限定品として発売されることが多く、ウイスキー好きやコレクターに人気があります。
この記事では、それぞれの意味と、ラベルの読み方、選び方を紹介します。
カスクストレングスは加水しない樽出しの度数
カスクストレングスは、樽から出した原酒に水を加えず、そのままの度数で瓶詰めしたウイスキーです。
一般的なウイスキーは40〜46度ほどに加水して瓶詰めされますが、カスクストレングスは50〜60度台になることが多いです。
度数は熟成の長さや保管の環境によって変わるため、ラベルには小数点まで細かく書かれていることがよくあります。
複数の樽の原酒を混ぜたうえで、加水せずに瓶詰めしたものも、カスクストレングスと呼ばれます。
たとえばアベラワーの「アブーナ」は、バッチ(仕込みの回)ごとに度数が変わるカスクストレングスの定番品です。
シングルカスクは1つの樽だけを瓶詰め
シングルカスクは、1つの樽の原酒だけを、ほかの樽と混ぜずに瓶詰めしたウイスキーです。
一般的なウイスキーは、たくさんの樽の原酒を混ぜ合わせて、いつも同じ味わいになるように造られます。
シングルカスクは混ぜないため、その樽にしかない香りや味わいをそのまま楽しめます。
同じ蒸留所で同じ年に蒸留した原酒でも、樽の種類や置かれた場所によって味わいは大きく変わります。
バーボンでは「シングルバレル」と呼ばれ、ブラントンなどがよく知られています。
なお、「シングルモルト」は1つの蒸留所のモルトウイスキーという意味で、1つの樽という意味ではありません。
本数が少なく、二度と同じものがない
シングルカスクは、1つの樽から取れる分しか瓶詰めできないため、本数がとても少なくなります。
樽には、約200リットルのバレル、約250リットルのホグスヘッド、約500リットルのバットなど、いくつかの大きさがあります。
樽の大きさや熟成年数にもよりますが、1つの樽から取れるのは数百本ほどです。
長く熟成させるほど中身が蒸発して減るため、長期熟成のシングルカスクはさらに本数が少なくなります。
樽が空になればそれで終わりなので、同じ味わいのボトルは二度と造れません。
この希少性が、シングルカスクが人気を集める理由の一つです。
シングルカスクのラベルの読み方
シングルカスクのラベルには、その樽についての情報が細かく書かれていることが多いです。
「Cask No.」は樽番号で、どの樽から瓶詰めしたかを表します。
「Bottle No. 120/250」のような表記は、全250本のうち120本目という意味のボトル番号です。
ほかにも、蒸留年(Distilled)、瓶詰め年(Bottled)、樽の種類(シェリーバット、バーボンバレルなど)、アルコール度数などが書かれています。
「ノンチルフィルタード」は冷却ろ過をしていないという意味で、原酒の風味を残すため、カスクストレングスとあわせて採用されることがよくあります。
冷却ろ過をしていないウイスキーは、水や氷を加えると白く濁ることがありますが、品質には問題ありません。
ボトラーズとの関係
シングルカスクやカスクストレングスのウイスキーは、ボトラーズ(独立瓶詰め業者)から多く発売されています。
ボトラーズは、蒸留所から樽ごと原酒を買い取り、自社の判断で瓶詰めする会社です。
1樽ずつ選んで瓶詰めするスタイルのため、シングルカスクで、かつカスクストレングスのボトルが多くなります。
蒸留所自身が、蒸留所限定品や記念ボトルとしてシングルカスクを出すこともあります。
また、酒販店やバーが樽を選んで瓶詰めしてもらう「プライベートボトル」も、シングルカスクで造られることがよくあります。
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シングルカスクの選び方
初めての方は、まず好きな蒸留所の名前から選ぶのがおすすめです。
いつも飲んでいるオフィシャルボトルと飲み比べると、樽による違いがよく分かります。
樽の種類も手がかりになり、シェリー樽ならドライフルーツのような濃厚な甘さ、バーボン樽ならバニラのような甘さが出やすいといわれます。
ボトルによっては樽ごとのテイスティングノートが公開されていることもあるので、参考にするとよいでしょう。
飲み方と保管の注意
カスクストレングスは度数が高いため、ストレートで飲むときはごく少量ずつ口に含みましょう。
数滴ずつ水を加えると、アルコールの刺激がやわらぎ、閉じていた香りが開いていきます。
チェイサーを必ず用意し、飲みすぎに注意して楽しんでください。
シングルカスクは本数が限られるため、開けずに大切に保管しておく方も多いお酒です。
保管するときは、瓶を立てて置き、直射日光や高温を避けましょう。
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