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■カルヴァドスはフランス産ブランデーの一種

「カルヴァドス（Calvados）」とは、フランス北西部ノルマンディー地方で生産されたリンゴを原料につくられる蒸留酒「アップルブランデー」の名称で、ブドウを原料とするコニャックやアルマニャックに並ぶ「フランス三大ブランデー」の一種です。
カルヴァドスの語源は、現在の生産地となっているノルマンディ地方の沖合にかつてEl Calvador（エル・カルヴァドール）という船が難破したエピソードに由来するという説が有力とされているのだとか。
カルヴァドスの製造工程は、原料の収穫からはじまり、醸造・蒸溜を経たのち、定められた年数以上熟成を重ねて完成となります。
収穫されたリンゴは醸造されて「シードル（リンゴ発泡酒）」となり、それを蒸留させてできた「オー・ド・ヴィー・ド・シードル」という無色透明のリンゴ蒸留酒を２年以上樽で熟成させて「カルヴァドス」が出来上がります。
なお、コニャックやアルマニャック同様に、カルヴァドスもAOC（原産地呼称規制）の対象となっているため、一定の条件を満たさなければ「カルヴァドス」と名乗ることができません。
カルヴァドスと冠するためには、フランス・ノルマンディー地方の「カルヴァドス ペイ・ドージュ」「カルヴァドス ドンフロンテ」「カルヴァドス」の３つの地域でリンゴ収穫、蒸溜、熟成、ブレンドまで行われたアップルブランデーであることがカルヴァドスの大前提となるのです。
そのため、指定の地域以外でつくられるリンゴを原料とする蒸留酒は「アップル・ブランデー」と呼ばれ、区別されています。

■ブラー（Boulard）は小さな家族経営のプロプリエテール

リンゴを原料とするブランデーは古くからフランス北部のノルマンディー地方でつくられてきました。
ブラー（Boulard）社は、ノルマンディーの中心であるペイ・ドージュ（Pays D'Auge）の地に自社農園を所有する家族経営のプロプリエテールです。
「プロプリエテール（Propriétaire）」とは、フランス語で栽培・発酵・蒸溜・熟成・瓶詰のすべての工程を自家地で行っている誇り高い生産者のことを意味します。
フランスの最も美しい村に登録されているペイ・ドージュ地方をアペラシオン（産地）とし、１８２５年に創業したブラー社が厳選したリンゴを使用するこだわりのカルヴァドス製法は、何世代にもわたって受け継がれ現在に至ります。

■カルヴァドス・ブラー・グランソラージュの味わいと楽しみ方

日本で有名なブラー社のカルヴァドスには、「ブラー グランソラージュ」や「ブラー X.O.」、「ブラー V.S.O.P」がありますが、これらの銘柄はサントリーが正規代理店として輸入販売しているため国内流通量が多いと考えられます。
ほかにもセラーマスターが特別にセレクトした「ブラー X.O. AUGUSTE」や「ブラー EXTRA」など、独自のブレンドによる人気銘柄もラインナップされていますが、残念ながら国内メーカーでの取り扱いがないため入手は困難です。
国内で入手でき、比較的低コストで購入可能な「カルヴァドス ブラー グランソラージュ（Calvados Boulard Grand Solage）」は、２～５年熟成のフレッシュな原酒に由来するペイ・ドージュ産リンゴ独特のアロマがほどよく生かされた味わいが魅力のカルヴァドスとなっています。
フルーティーなリンゴの香りに、オーク樽に由来するバニラのような熟成香が素晴らしいバランスで加わり、上品で薫り高い風味も特徴的。
カクテルベースとして選ばれるカルヴァドス グランソラージュは、定番のジャックローズや温かいコーヒーに入れて飲むホットカクテルまで楽しめるお酒ですが、特におすすめの飲み方はブラートニックです。
ブラー グランソラージュの優雅なリンゴの香りと心地よいコクを、たっぷり注いだトニックウォータと飾りのレモンまたはライムでさっぱりと味わえるカクテル「ブラー トニック」は、本場フランス・ノルマンディーでも人気の楽しみ方なんだそうです。