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■カラスに守られたファミリーとその土地
クエルボ1800アネホクリスタルテキーラは、日本では未発売のボトルです。
アネホは原音に近くアニェホと言われますが、熟成させたという意味で、最低1年オーク樽で熟成させたものを指します。
エクストラアネホともなると最低3年間オーク樽で熟成させたものとなり、なかなかボトルとしてはお目にかかれないかもしれません。
この世界的に有名なテキーラを製造しているのはメキシコのホセ・クエルボ社で、創業の1758年以来、200年以上も世界一のシェアを誇っています。
クエルボがシンボルに掲げているのはカラスで、クエルボというのがカラスを意味するスペイン語です。
スペイン語がわからない、読めない人たちでも、身近にいるカラスの絵があればすぐに覚えられるだろうと、酒樽に描いて貼ったのが始まりと言われます。
初代の遠いご先祖様がカラスのお陰で強盗の銃弾から助かったことでクエルボと名乗るようになったということですが、覚えやすいカラスマークはとてもキャッチーなアイデアだったと言えます。
現在ラ・ロヘーニャ蒸溜所のエントランスには巨大なカラスの像があり、町自体がカラスをキャラクターとして愛しています。

■どんどん拡がりを見せるクエルボのテキーラ
初代ホセ・アントニオ・クエルボ氏は、1758年に当時のスペイン王からハリスコ州の土地を得てアガヴェを栽培し始めました。
その後1781年になって息子のホセ・プルデンシア・クエルボが領土を拡大し、栽培量を増やすことに成功します。
ホセ・マリア・グアダルーペ・クエルボ氏は、1795年にスペイン王カルロス4世からテキーラの販売の認可を受けます。
この時に初めてホセ・クエルボ社がラ・ロヘーニャ醸造所で、テキーラ製造会社として誕生しました。
そこから200年以上、クエルボは無くてはならないテキーラとして、世界に愛され続けることになります。
現存するラ・ロヘーニャ蒸溜所が稼働を開始したのは、1812年です。
そこからメキシコ国内で非常に高い人気を博し、順調に売上を伸ばしたホセ・クエルボ社は、1850年に経営者が変わります。
ビンセンテ・アルビノ氏の死後にドン・ヘスス・フロレンス氏が経営者となった時、彼は鉄道が延長される計画があることを知り、アメリカに事業を拡大することに着目します。
そこで原料であるアガヴェ（ブルーアガヴェ）の栽培を拡大し、施設も増設して醸造プロセスの改良にも乗り出しました。
そして2年後の1852年に、初めてアメリカのカリフォルニアへテキーラを売り出すことに成功します。
これがクエルボが国境を越えた最初の一歩となりました。
その後、1880年にはガラス瓶に入れたクエルボを開発し、個人でも持ち運べるようになったクエルボのテキーラは、ますます人から人へと拡がって行きます。
クエルボを愛する人の手から人の手へ、軽々と国境を越えて行くことになったのです。

■バーテンダーにとってなくてはならない酒
クエルボは長い歴史と伝統があり、世界一のシェアを誇るNo.1 テキーラです。
そして世界中のバーテンダーがなくてはならないと断言するまでに至ったのは、あまりにも有名なカクテルのベースとしてクエルボが愛されるようになったからです。
1930年代から40年代は、マルガリータのベースとして人気を博し、1970年代からはテキーラサンライズのベースとして大ブームを巻き起こします。
現在でも非常にたくさんの新しいカクテルのベースとなり、世界90カ国以上で愛されるグローバルスタンダードとなりました。
テキーラと言えばメキシコの地酒という位置付けでしたが、現在では、ジンやラム、ウォッカとともに世界4大スピリッツと言われています。
テキーラをここまでの位置に押し上げたのは、間違いなくクエルボの功績と言えるでしょう。

■日本未発売のアネホクリスタル
クエルボ 1800アネホ クリスタルは、日本では未発売の1本です。
入手しづらいこともありオークションで高額取引されることが多い銘柄ですが、ブルーアガヴェ100%で1年以上樽熟成したプレミアムテキーラの魅力は、もちろん希少性だけではありません。
バニラ香を感じる滑らかな舌触りが特徴で、テキーラらしからぬサラッとした軽やかな印象です。
アルコール35%で華やかな口当たりですので、テキーラの魅力の新たな発見となるでしょう。